広島県建築士会東広島支部

<昨年の豪雨災害での相談窓口設置>

この度の台風第19号の風水害により被害に遭われたみなさまへ謹んでお見舞いを申し上げます。

本日(13日)の報道による情報だけでも広範囲にわたる河川氾濫,多数の土砂崩れ,強風による倒壊が発生して被害の甚大さ深刻さがひしひしと伝わってまいります。私たちの支部では去年の西日本豪雨災害で被災したみなさまへの支援活動として,建築相談窓口を開設して被災した住宅の再建相談を実施しましたので,その概要をここに紹介させていただきます。この度の台風災害では私どもが経験したものよりも大規模であるため,被災住宅の再建に戸惑われる方が相当にたくさんおられるものと推測します。

去年,当支部が実施しました建築相談が参考になれば幸いです。

実施主体:市町

支部会員の参加形態:市町が開設する建築相談窓口に建築の専門家として参加

市町職員との役割分担:市町職員は,罹災証明の手続き,見舞金・融資制度など行政制度上の支援内容の説明を担当し,支部会員は建て替えにおける技術的な相談を担当

日数・相談件数等:資料「建築相談窓口の報告」を参照ください。

建築の専門家として相談員を務めるのですが,浸水した家屋の再建などそもそも体験したことがありませんから,戸惑うことが多いです。河川による浸水は泥との闘いとなります。普段,きれいな川の流れが泥水となり床へ堆積し外壁の断熱材に浸透します。仕上げ材の撤去→泥の清掃→消毒→乾燥という工程が必要となります。泥との闘いとともにカビとの闘いもありますから乾燥が重要です。相当に労力を要する作業ですが通常の木造住宅は再建可能です。行政職員が見舞金や融資制度を説明して建築士の相談員が技術的に再建可能であることを説明する,そんな形になります。去年の当支部での災害では土石流によるものが多かったので,部分的な損壊で部分的な改築相談を多く受けています。そうした技術的な相談に加えて,被災で怖かった経験の聞き役も務めています。

床上浸水で被災した住宅の再建を綴った経験談を当支部報「居蔵」に掲載しています。復旧にかかる膨大な労力とそれでも復旧可能であることが綴られていて,相談窓口で対応される相談員の方の参考になることを願います。「7月豪雨災害被災住宅のリフォーム

被災された方にはそれぞれのご事情があって,この相談窓口がどれほどの支援になったわけではありませんが,大きな被害に対するごく小さな力にはなったものと思っております。

この度の台風災害でも再建に迷う方への相談窓口は開設されるものと思いますので,私どもの経験がお役に立てれば幸いです。

令和元年10月13日